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逐次追加します

ここでは当社で担当した案件のなかで適当に選んだものを掲載しています。徐々に数を増やしていきますが、こんなものが読みたい、というリクエストがあればお受けします。

No.1 吊り橋とツリーハウス

非常にめずらしく、つり橋とツリーハウス制作依頼を今回受けましたので早速設計に入りました。つり橋の設置場所は敷地内の谷間を利用して反対側へ渡るルートとなります。橋をかけるルートは当初低い方の傾斜に迂回してから渡す予定でしたが、樹木の害虫被害で元気がなくつり橋には適さないと判断したので高い傾斜面のルートを選択しました。なお、橋に利用する樹木はもちの木で、幹も太く枝も多いのでつり橋には適しています。

ルートと木が決まり次はワイヤーロープの選定ですが、敷地は海が近く塩害があるため亜鉛メッキを施したものを利用します。ワイヤーの太さは渡り板と人の重量を考慮して破断強度が6トンまである12mmを選択します。樹木に土台を結束するためと、手すりに使用するロープは依頼主の要望でナイロン素材は使わないので代わりに自然素材であるマニラロープというものを使用します。マニラロープとは植物繊維で水、塩、熱に強く、伸びが少ないものです。ロープの太さはそれぞれ結束用10mm、手すり用24mm、縄フェンス用12mm。


つり橋制作のはじめの作業は直径12cm防腐剤入丸太をもちの木に杉皮テープを巻き、マニラロープで結束。ワイヤーロープの取り付けは丸太に直接巻きつけた方法と、もちの木に杉皮テープを巻きワイヤーが木に食い込まないように丸太の半割をスダレ状にして杉皮テープで処理した2つの方法で取り付けます。ワイヤーロープ張り作業で一番気を配るのはワイヤーグリップ(ワイヤーが抜けないようにする為のもの)取り付けとターンバックル(ワイヤーを引っ張って微調整するもの)の取り付けです。


渡り板にワイヤ止めフックを取り付け、締めずに針金とロープで連結しながら向こう岸から引っ張る。向こう岸まで到達したら手前から板の間隔を計りながら順次フックを締め付けていきます。この作業では渡り板の重量が数百キロにもなるので引張作業で十分丈夫なロープとレバーブロックが必要になります。


つり橋の手すりの作業では、渡り板の2枚感覚で上下交差させロープの張りを乗りながら微調整して、無荷重のときはたるむようにします。この作業ではロープのたるみを見込んで手すりの高さを高めに設定します。


ツリーハウスは2x2(ツーバイフォー)用の金具を使用して骨組みを制作し、入り口は階段を登って床の一部を上げて中に入る方式とします。ツリーハウスの壁面は杉板を使用し、窓は前後は開閉式で両側面ははめごろしの従長窓を制作。屋根には杉板を張り、山小屋風に制作しました。


つり橋とツリーハウスの製作期間は3人で30日間で完成。製作中は無我夢中で作業していましたが、気づいてみるとこの地形、斜面からの高さによく作れたとわれながら感心しています。依頼主も予想していた通りのものが出来たと満足していただけました。さらに樹木のことに詳しい業者に任せて良かったと言っていただけました。完成後直後にはツリーハウスに組み立て式カウンター、椅子など家具が運び込まれ、居心地が良さそうな空間となっていました。


数カ月も前から準備に入り、何度も試作品を作り細部に至るまで研究をしてから製作に入りました。最初はつり橋の横からロープで揺れ止めをしないと渡るときの横揺れが怖かったのですが、完成してみると横ロープはないほうが渡りやすくなっていました。渡るときのフワフワと浮いているような感覚が楽しいです。ツリーハウスは中に入ると高さが12m位のところにあるので怖いと思いがちですが、窓の外を一旦眺めると木の葉に包まれている感じが小鳥、リスなどの目線のようで自然との一体感が味わえ、予想以上によく出来たと感じています。